自信冷静・国家前進、台湾があるから世界がさらに良くなるように
双十国慶節祝賀大会の主席である游錫堃・立法院長、ナウル共和国のラス・ジョセフ・クン大統領夫妻、セントクリストファー・ネービスのマルセラ・リバード総督、セントビンセント及びグレナディーン諸島のスーザン・ドゥーガン総督、ご来場の貴賓のみなさん、アジア大会から帰国したばかりのメダリストたち、友人のみなさん、テレビやインターネットでご覧いただいている国民のみなさん、こんにちは!
今日は中華民国112年目の建国記念日です。3年ぶりに、私たちはついにマスクを外し、ともに国家の祭典を祝うためにここに集いました。
世界各地から集まった台湾出身者の方々、そして3年ぶりに遠くから来てくれた海外の友人たちに、台湾の人々を代表して心から感謝の意を表します。
3年にわたる新型コロナウイルスとの戦いを振り返ると、その日々は遠い昔のことのように思えます。しかし私たちは、もう一つの苦しい道のりを、30年歩いてきました。
前進しなければ後退するだけ。懸命に努力しなければ、自分の運命を握ることはできない
先月末、一隻目の国産潜水艦の試作艦「海鯤軍艦」が進水しました。この「海鯤軍艦」は今後の試験航行が完了したのち、2025年に正式に就役する予定です。
潜水艦の国産化は30年の努力を経て、異なる政党と歴代の総統が実現しようとした夢ですが、私たちはそれをやり遂げました。
何も無いところから一歩を踏み出すには、計り知れない勇気が必要です。プレッシャーを背負うことや障壁を突破すること、噂話と戦うには、ほんの少しのためらいが失敗を招きます。
それでも、ついに私たちはやり遂げました。自主的な国防がまた大きな一歩を踏み出し、国軍の非対称戦力はさらに向上しました。私たちは再び、中華民国台湾を守る決意を示しました。私は「海鯤軍艦」という潜水艦が地域の平和と安定を守るために航行することで、世界からさらに認められると信じています。
これこそが、中華民国を過去74年間支えてきた、揺るぎない精神です。特殊な国際的処遇と刻々と変化する挑戦に対して、前進しなければただ後退するだけです。懸命に努力しなければ、自分の将来や運命を握ることはできません。
困難な課題の中で改革を実行してくれた台湾の人々に感謝
特に過去7年は、国際的、地域的な政治及び経済状況は複雑かつ常に変化しており、新型コロナウィルスのパンデミック、そして異常気象と相まって、民主主義諸国における政府の統治体制のレジリエンスは挑戦をうける中、民主主義社会における人々の間の関係、つまり信頼の基礎も同様に疑問を投げかけられています。
私は改革への約束を決して忘れたことはありません。また改革がもたらす葛藤や痛みもよく知っています。台湾の人々が、団結によって恐怖に打ち勝ち、包容力で憎しみを解消し、民主主義によって困難を克服したことに感謝しています。
「婚姻平等法」により同性婚が合法化され、既に4年が経ちました。どの相思相愛のカップルも幸せな家庭を築くことができる国、全世界がうらやむ台湾となりました。反対の意見を持つ皆さんの寛容に感謝します。
軍人、公務員、教職員の皆様の理解に深く感謝します。年金財政の持続可能性を高めるため、これまで実現できなかった「年金改革」を推進するとともに、次世代を担うための財源を政府に与えることができました。
また、労働者の皆様の理解にも感謝したいと思います。年金改革のラストワンマイルはまだ完了していませんが、2020年から労働保険基金を補うために2,670億台湾元(約1兆2356億日本円)の予算を次々と準備してきました。安定した財政基盤と社会の理性的な対話をもとに、次の段階の労働保険財政改革が着実に実行されることを期待します。
同時に、8年連続で最低賃金の引き上げ、そしてその蓄積した経験をもとに「最低賃金法」の草案を提案し、立法院に提出し、審議を受けました。私は労働者を大切にするという約束を忘れていません。
少し前に、桃園出身のあるご夫婦にお会いしましたが、彼らは住宅のリースに投資している公共の賃貸業者です。公営住宅の賃貸は、入居者にとって単なる「部屋」ではなく「家」であると教わりました。
公営住宅の推進に温かく献身的に尽力してくださった台湾各地の友人たちに感謝したいと思います。過去 7 年間、初期段階では困難があったにもかかわらず、私たちは前に進み、基礎を築きました。現在、公営住宅運動はそのレッテルを徐々に脱ぎ捨て、地域社会の前向きな力となっています。8年20万世帯という目標は2024年末までに達成される見込みです。
「住居における正義」への道のりはまだ遠いですが、ここ数年の経験の積み重ねで、今後は正しい道への進歩を加速できると信じています。
私が総統に就任した当初、台湾の電力供給予備力は1.64%と低かったことを今でも覚えています。 しかし、この7年間でエネルギー供給量を大幅に増加させ、エネルギー変革を推進し、昨年、グリーンエネルギーの総発電量は昨年、初めて原子力発電を上回るという転換点を迎えました。
現在、太陽光はますます強くなり、気候が暑くなるにつれて、午後の電力不足を心配する必要は少なくなります。夕方の電力ピークの時間帯でも電力供給予備力は7%~10%と安定した状態を維持できます。
私たちは時間と闘い、さまざまな困難を乗り越え、エネルギーの高度化を一歩ずつ実現していきます。 世界が「2050年のネットゼロ」実現に向けて急ピッチで進めていく中で、台湾の再生可能エネルギー開発、エネルギー貯蔵ネットワークの構築、電力システムの強靭性の強化は、遅くなることや、後退することはなく、ただスピードをあげて推進していくのみです。
7年間で国力を強化、台湾は世界の台湾に
過去7年間で改革を推進したほか、私たちは劇的に変化していく両岸関係と国際情勢の中で全力を尽くし、経済発展、国力強化、国民へのケア、国家安全保障の確保、両岸情勢の安定、ならびに国際的な支持を得てきました。
すべての国民の7年間にわたる努力を経て、台湾の経済は大きな強靭性を表しただけでなく、世界のサプライチェーンの再構築で重要な意味を持つようになり、中華民国の国力は強いものとなっています。
私たちのGDPの規模は、私が就任した時の17.5兆台湾元(約81兆日本円)から大幅に成長し、今年は23兆台湾元(約106兆日本円)を突破する見込みです。また、ここ数年は世界の経済が停滞し、インフレなどの苦しい状況の中で台湾の平均的な経済成長率は、世界の平均値を上回り続けています。これは、アジア四小龍の中でトップであり、また台湾は比較的安定した物価を維持しています。
同時に私たちは安定した財政を維持しており、6年連続の税収上振れ分を現金としてすべての国民に給付し、消費を促進するためのクーポンや現金の支給。月ぎめ通勤定期券TPASS、家賃補助などの措置で、すべての国民に還元し、皆さんの生活における負担を軽減しています。
さらに私たちは「六大核心戦略産業」の振興に全力を尽くし、インフラ整備に大きな力を注いできた結果、台湾の産業モデルの転換をすることができました。特に強大なテクノロジーの実力と製造能力は、台湾を世界のサプライチェーン再編の中で欠かすことのできない重要なものとしています。
私たちはまた、過度に一つのマーケットに依存する状況からの転換を果たしました。私たちのアメリカ向け輸出金額は倍増しています。今年の6月には台湾はアメリカと「21世紀の貿易に関する台米イニシアチブ」の第一段階の協定に調印しました。これは、各国に先駆け、新しい概念を生み出す貿易協定です。
7年以上にわたる努力の結果、新南向政策の対象国への輸出は過去最高となりました。また、ヨーロッパとの繋がりも強化され、EUは今や台湾にとって最大の外資供給源になっています。台湾は経済的な実力をもって、世界に対して代替できない重要性を示しています。
2016年以来、蔡英文・政権は常に約束を守り、現状維持に努めています。「四つの堅持」を遵守し、挑発せず、突進せず、プレッシャーに直面しても屈服せずに、全世界の民主主義国との協力関係を深化させ、地域の平和と安定を維持すると共に、世界に善良な力で貢献してきました。
中国大陸で台風の豪雨災害があれば人道支援を行い、トルコの地震では第一線で支援し、ロシアとウクライナの戦争では、ウクライナとともに立ちました。もちろん、新型コロナウイルスの流行があった3年間、互いに助け合った民主主義のパートナーとの「善意の循環」も忘れてはいけません。
障害は立ちはだかり続けますが、私たちは世界に向けての歩みを止めることはありません。台湾と日本の友情は堅く、台米関係は盤石です。私たちの国交樹立国や理念の近い国々は、国際社会で台湾を支持しており、さまざまな国の若者はSNSで「Viva Taiwan」と声を上げています。
台湾の民主主義の成果は世界の模範となっており、台湾の揺るぎない地位は間違いなく、民主主義の持続的発展と世界の安全、繁栄の最大の保証であります。
自信と冷静さ、地域の平和と安定に貢献し続ける
現在の台湾は、既に世界の台湾となっています。地政学的戦略や世界的な民主主義の発展、あるいは、世界のサプライチェーンシステムにおいて、私たちは全てにおいて最も信頼でき、最も効率的で、最も安全な協力パートナーであることを既に証明しています。世界各国による支持も、これまでにないレベルの固い団結力になっています。
今、この瞬間、私たちは、既に世界に向けての自信を揺るぎないものとしています。また、より自信を持って冷静に中国に向き合い、未来の発展のために両岸の平和と共存の条件を作り出していくことができます。
総統として私の責任は、国家の主権を守ることであり、2300万の台湾の人々の民主的で自由な生活を守ることです。それと同時に、両岸の間に、人々の間に自由で、束縛のない、負担を強いられることのない交流をすることができる平和共存の道を求めていくことです。台湾、さらに両岸は、共に地域の平和と安定の貢献者になることができます。
あらためて強調したいのは、「平和は両岸の唯一の選択肢であり、現状維持を各方面の最大公約数とすることが平和を確保することの重要な鍵となる」ということです。
特に、世界は既に台湾海峡の平和と安定は、国際社会の安全と繁栄に不可欠な要素であると認識しており、いかなる当事者も、一方的に現状を変えることはできない。両岸の問題は平和的な手段を持って解決しなければなりません。
そのようなことから、私たちは主権と民主的自由を確保しながら、歴史的事実を尊重しつつ、今後も平和で安定した両岸関係を構築していくために引き続き努力をしなければなりません。
今日は多くの政党のリーダーや来賓がこの会場に集まっています。政党間の競争は民主政治の日常です。しかし今日、私たちがここ集まっていることは、まさに台湾の民主的な風景を示すまれな例です。
私は、選挙戦の後、私たちが感情的になっていた部分を脇に置き、台湾内部でより大きなコンセンサスを求め、対外的に一致団結していくことを心から期待しています。これは与野党の枠を越えた国家に対する共通の責任であると私は信じています。
私たちは、台湾の民意やコンセンサスをベースに、尊厳と対等を前提とすること、民主主義的な対話を過程とすること、現状の維持を核心とすることで、北京当局と双方が受け入れ可能な相互基礎と平和共存の道が発展することを願っています。
私は、国際社会の台湾に対する支持はますます強くなっていくと確信しています。世界が台湾海峡の平和と安定に注視し、その維持に努めている中、私たちは機会を捉え、リスクをコントロールし、両岸が地域の平和と安定の重要な貢献者になっていく必要があります。そしてこれは台湾の与野党、そして両岸の避けることのできない歴史の責任であり、共同の使命です。
国家は前進し続ける、台湾があるから世界がより良くなりますように
国民の皆さん、65年前の「823戦役(金門砲戦)」から、今日の外部の脅威に立ち向かう挑戦まで、私たちは常にお互いを区別せず、一致団結する信念を抱いています。
今日、中華民国台湾は、2300万人の主要なコンセンサスとなっています。このコンセンサスは、異なる民族の歴史的な感情と、74年間の幸福と苦痛を共有した認識を集約しているものです。
それもまた、団結のため、国家を守るため、民主かつ自由の生活を守るため、私たちはお互いに近づき、最大公約数を作り出す意志を示すものです。
したがって、台湾の民主主義は、国内外の甚大な圧力の中で成長し、さらに強い強靭性を持つようになりました。台湾の民主主義を守ることは、普遍的な価値である民主主義を守ることです。
皆さんの一致団結に感謝します。そのおかげで、私たちは世界中に民主主義である台湾を見せました。私たちは自信を持って、世界に台湾人の尊厳と自主性、情熱と善意を伝えます。台湾人は世界のために喜んで行動するだけでなく、台湾人は代々民主主義と自由の人として生きていきます。
台湾の人々が私に中華民国の総統になる2度の機会を与えくれたこと、また、台湾の人々と一緒に努力できることに、私は心から感謝しています。
この数年間、政策実施において成果もあれば、期待に応えられないこともありました。総統として、私はその責任を全うします。これこそが民主主義国家です。 執政者は自己満足に陥ってはならず、いかなる政策実施もより多くの国民を満足させなければならなりません。それが政府の永遠の目標です。
国民の皆さん、私の任期は来年の5月20日までですが、国家は前進し続けなければなりません。
私は、自信に満ち堅実な台湾は必ず前進し続けると信じています。私たちは、世界により良い台湾を示すだけでなく、民主主義の台湾があるから、世界がより良くなるように願っています。
台湾、頑張れ!中華民国、頑張れ!ありがとうございます!